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デフィーツファブリーク 続報2 ワークサイクルズのヘンリーさんのブログ 2010年6月11日から

デフィーツファブリーク 同業者の倒産 ワークサイクルズのヘンリーさんのブログ 2010年6月11日から

私も含めて業界関係者の中には、「そんなにことが簡単に運ぶわけがない」と考える人も、少なからずいた。アムステルダムで人気の交通用自転車のプロデューサー、デフィーツファブリークが。昨日、破産申請の話がもれ伝わった。いま、報道関係はうんちに止まったハエのようにそればかり(all over it like flies on poop)。これはそれほど驚くことではない。メディアの注目を引こうとしてきた男たちの超人的才能(uncanny knack)を考えれば。それはとってもカリスマ的な物語だった(あるいは、である:現在形)。強い感性(temperamental)と強い動機付け(driven)をもったクルド人移民が、オランダが生みだしたものといっていい「自転車」というものでの成功物語だ。「高学歴のインダストリアルデザイナー、あるいは、ニューヨークで自転車業界にいた男が、オランダにやって来て、保守的だが高品質な自転車を作った」とかいう話よりも、彼の話はかなりエキサイティングに聞こえていた。そのことは私も認めざるを得ない。しかし、セレブな状態というものは一端、事が悪い方向に転がりだしたとたんにニュース価値がさらにあがるというマイナス面がある。

すでに多くの人が「これはワークサイクルにとって非常に重要なニュースだ」と考えている。なぜって、友だち、同業者、知人たちが私に送ってくるメールが一時たりとも途切れることがない。リンクやコメントを送りつけてきている。立場をはっきりとさせておきたいが、私たちは微笑んでいるわけにはいかない。何が彼らの財務上の問題を引き起こしたのかということとは別に、同業のオーナーとして、彼らの状況に対して、私は、同情を覚える。ニュースでは、パートナーの2人は個人的責任を問われているという。フィーツファブリークは法人組織ではない共同事業だった。責任の額は120万ユーロほど。彼ら自身は、一体なぜ、こんな穴を開けたままにしていたのか?


私にニュースを転送してくれる人は、ワークサイクルズとデフィーツファブリークはどちらもアムステルダムの同業者で競合企業として比較されていたからという。専門誌や新聞記事では私とデフィーツファブリーク(のデイブかヤルチン/Dave or Yalcin)のどちらをもインタビューして特集を組んだものだ。そこからの連想で、ワークサイクルはフィーツファブリークがなくなることから大きな利益を得るだろうということになる。私にはまったくその確信はない。どちらの会社も独自の(ユニークで)重量級の(ヘビーデューティな)街乗り自転車(シティバイク)をつくっていたというのは真実。片手ほどの数だが同じ販売店で自転車を販売していたという点もある。ワークサイクルズのシリーズで、たいていのものは(というか、全部といってもいいかもしれないが)フィーツファブリークのシリーズを置き換えることができるはず。本当にそうかは保証の限りではないが。


デイブ・ダウチュ(Dave Deutsch)、フィーツファブリークのパートナーの一人、と私はなんどか話し合ったことがある。私たちはかなり違う会社で、かなり違う自転車を作っていて、違う層へ売り込んでいると。ワークサイクルズはほとんどが黒か灰色で他にあっても目立たない色。求められれば望みの色に塗ることはいとわないが、それは顧客が望んだときだけ。私たちの自転車デザインというのは、そしてたぶん、私たちの会社というのが、「見た目と雰囲気(ルック&フィール)」は、シンプル(straightforward)。狙いは確かに、オタク的で、本物の、技術的な完全性。その反対に、フィーツファブリークは、もっと大胆だった。自転車のフレームデザインは、バカらしさに紙一重のおもしろさで、虹模様の配色。顧客の希望ならなんでもつくるといっていたのを見たことがある。みなさんをがっかりさせて申し訳ないが、ワークサイクルはそんなことは絶対に言わない。私たちは柔軟ではあるけれど、ワークサイクルズの自転車は私たち自身で厳重にテストして信頼あると考えた部品と原理を集めたもの。もちろんワークサイクルズの自転車のほうがよいと思っている。しかし、フィーツファブリークも同じことを彼らの商品に対して思っているだろう。


うちの商品と商品に対するアプローチと彼らとの違いというのは、お互いの客層が異なるところからくるものだろう。フィーツファブリークはアムステルダムではよく知られた会社であり、ワークサイクルズはアムステルダム以外で強い。特にオランダ以外で。フィーツファブリークの活動的な魅力と常時メディアの注目を惹く姿勢は、若い世代や流行を追い求める顧客層に人気があった。アムステルダムで箱自転車とか頑丈なシティバイクを買おうと見て回るときに、どちらもが候補となりそうなものと思うかもしれないが、経験では違いがあって、顧客は自分の個性に合うほうを選んでいるように思える。


さて、いまも、フィーツファブリークはワークサイクルズの一番の競合だろうか?その視点は井の中の蛙。私たちの競合とは人々が自分のお金を使う輸送用自転車以外のところはすべてあてはまる。キッチン改装、自動車、旅行、フラットな画面のテレビも。私たち自転車販売会社の売上にとって一番の悪者とは、実は他社の自転車販売会社などではなく、横行している自転車泥棒。小規模自転車メーカーにとってはこの点へのメディアの注目が一番怖い。


これはワークサイクルの利益になるか?もちろん、たぶん、ある程度は。アムステルダムの人々はこれからも同じ割合で自転車を買い続けるだろうから、フィーツファブリークの顧客候補になる人なら、彼らがいなくなれば、私たちのところに来るのは当然のこと。そして、ワークサイクルの典型ではない、別仕様で、明るい色で、オーダーする・・・。しかし、そういったタイプの自転車は2003年にはまったく小説の中だけのものだった。2010年現在、大通りどころか、国中の多くの店先でも、よく見かけるようになっている。真空のものなら、その口が開いたとたんに充満してしまうだろう。ワークサイクルからだけではなく、他の販売店からもたくさんの自転車が、大から小までさまざまなメーカーによって供給されることになる。その点で、根本的な変化というものがどちらの会社にも起こる。数年前にはなかった競合状況といったものがかなり生まれてきている。戦うべきか死ぬべきか。


最初、新聞はどこも同じように「巨額の負債のためフィーツファブリークが倒産を申告した、破産管財人が事業継続を目指し奮闘中」と簡単に報じていた。それによれば、負債額は120万ユーロ、年間売上額約300万ユーロ。従業員60名は解雇を求められてた。(私からすると、この数字は奇妙だ。負債が年間売上のおよそ半額で、しかも従業員60人で300万ユーロを売り上げている会社とは)


オランダ語を読むことができるなら、あるいはオンライン翻訳で読んでみてもいいなら、Het Paroolの記事を読んでみてほしい。(ちゃま勝手訳:デフィーツファブリーク続報 parool.nl 2010年6月10日


興味深いのは読者のコメントだ。ある人は銀行を非難し、ある人は飽和状態の市場を非難している。箱自転車嫌いの数人は自分の道徳観が優れていることを訴える絶好の機会とみて、(箱自転車)の親たちを罵っている。そして、驚くべき数が詐欺をほのめかしている。かなり具体的な知識で支払い拒否に対して高額の徴税罰金をかけるように主張している。ここにあげたのはかなり強烈な書き込みだけ。真実か、ただの自分勝手な言い分なのか。だれも真実はわからない。


Het Paroolが記事に更新をいれた。(Het Paroolのライター)Herman Stilがフィーツファブリーク販売店(ディーラー)とフィーツファブリークの自転車設計者でパートナー(共同経営者)のヤルチン・チハンギール(Yalcin Cihangir)に対して、明晰な詳細調査をしている。これは痛い!さらに醜い話となってきた。ある元販売店主は一報を聞いて祝杯を挙げたと明かし、問題の一覧をあげている。(このディーラーは記事のコメントへの書き込みで、祝杯については否定した。しかし、他の点についてはそのとおりとしている。) 他のディーラーでも同じようなことを語っている。低品質、折れたフレームの多さ、納品や管理のひどさ、そして、批評が脅しになっていく。いくつかのディーラーではフィーツファブリークとのビジネスから手を引いてもう何年も経つのにまだディーラーリストに掲載されているという。ヤルチンはすべての非難を否定し、「非難しているのは自転車メーカーではなく、ただみんな成功を分けてほしいだけだ」と炎を返している。ケンパーからの非難に対しては、ケンパーが自身で自転車を作り、ヤルチンの後ろ盾で自転車販売を始めたと主張している。ヤルチンは「新しいモデルで出直したい。新フィーツファブリークで。待っていてほしい」といっているそうだ。


何を信じたらいいんだろう?とても難しい。最悪の非難のいくつかは、どっちにしても誇張があるか、真実は半分と思っている。ただし、私自身の印象を言えば、勘と経験でマーケティングやら宣伝やらをこなせる才があったが、組織の体になっていなかった、基盤ができていなかった、長期の関係構築ができていなかったと思える。


皮肉なのは、彼らがやった最大の宣伝。2004年にフランス・ブロメット(Frans Bromet)が作った“Failliet of niet? – de fietsfabriek”(破産か否か? デフィーツファブリーク)という2部構成のドキュメンタリー。これは、‘t Mannetje( アトマニチェ)という自転車ビルダーが内部分裂してできた、創業まもないフィーツファブリークで苦闘するヤルチンを描いたもの。‘t MannetjeのJan Willem Deijmannは犯罪者(あつかい?)。だれが見ても、みんなをだますことにベストを尽くしているように見える。(ちゃま:‘t Mannetje


ビジネスの面では私はこれがどういう方向にいくのかはわからない。しかし、確かにデイブとヤルチンと彼らの従業員たちが皆ベストを尽くしてくれるのを期待している。

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