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スティーブ・フラッグさん QBP創業者

QBPってだれ?もご覧ください
ちゃまは「BPSA バイシクルリーダーシップコンファレンス 2010 」の話で知ったQBPのスティーブ・フラッグさん。QBPの話をスティーブさんご自身がしてくれています。(BPSA の方にスティーブさんも写ってる写真があります。)

Dirt Ragでのスティーブ・フラッグさんインタビュー
クオリティバイシクルプロダクツ(QBP)
http://www.dirtragmag.com/print/article.php?ID=1173 (こちらにもにこやかなスティーブさんの写真あり)
第137号 発行日: 2008年8月15日


Qの話だ。ジェームズ・ボンドの使うクールガジェットを提供していると思っているかな。自転車店で働いているなら、他のクールガジェットを思い浮かべただろう。爆発するペンとか忍者ロープがでてくる腕時計とかじゃなくて、ディレイラーとマルチツールとハンドルバーがついたやつのことを。Qとは、クオリティ・バイシクル・プロダクツ、QBPのことだよ。QBPは自転車用パーツ&アクセサリーで業界最大のディストリビューター。自転車店で新しいパーツを購入したら、ケーブルを交換したら、チェーンに油をさしたら、それはきっとQBPからきたやつのはず。

ボクはスティーブ・フラッグのインタビューをする機会に恵まれた。スティーブはこの自転車最大のきらめくガジェットサプライヤーの創業者であり共同経営者だ。

インタビューアー:クオリティ・バイシクル・プロダクツのはじまりはどんなふうだったんですか?どんなふうにはじめたんですか?

スティーブさん:(ミネアポリスの)ウェストバンクでフリーホイールっていう名前の小売店の立ち上げを手伝ったんだ。まだやっているよ。74年だった。7年間やった後、QBPを始めたんだ。僕は自転車販売はうまくやれば大きなチャンスがあると見ていた。その当時、日本の会社はアメリカ市場ではまだ新顔だったけれどいい商品がたくさんあったんだ。でも小物部品や修理部品を探すのが簡単じゃなかった。

いろんなコネを集めるところから始めて、商品の販売機会がどんなものかわかってきた。それと、業界でディーラーをやっていた友達が数人いた。最初は6つの自転車販売店が取引してくれた。だから最初はほんとにちいさなところからスタートしたんだ。最初の年は僕と犬とだけだった。

インタビューアー:自転車店へのサービス提供を簡単にしたんですよね?どんなふうに?自転車店と一緒にですか?たまたまそうなったんですか?

スティーブさん:自転車店がわかりやすく便利に使えるようにするのは僕らのミッションだから。いつでもとびきりのカスタマーサービスをしようと思っているし、とびきりのシステム、とびきりのプロセス、そして使い勝手をね。だから、最初の一日目から、たとえば、カタログには価格を載せてね。当時は、誰もそんなことをしてなかったよ。みんなカタログのページを最後までひっくり返して、コンピューター番号と価格があっていることを確かめていたんだ。僕たちは、そんなことをもっと簡単にしようと思ったんだ。説明書きに商品価格を入れればいいだけだろ?だから、それは僕たちの通過点。わかりやすくするにはどうしたらいいか。最善のサービスができるようにして、迅速で、信頼できる、一貫したやりかたにするようにね。

インタビューアー:それで、そういった探しにくい部品を入手できる会社として業界参入したわけですね。入手が難しい部品の会社とか、取り扱いが難しい会社とかありましたか?それで取り扱いを止めた会社とかブランドはありますか?

スティーブさん:これは僕らのメッセージなんだけれど、僕らが新規にサプライヤーを扱うときには、まず第一にサポートのことを考えるね。ディーラーサポートできる?って。お客さんのために商品を探そうとして店のカウンターの陰で困っているディーラーを見たくないんだ。

君の質問の観点なら、そうだなあ、商品を入手しづらくしているような、サポートがほとんどないような、そういうサプライヤーなら取り扱わないね。信頼あるサービスレベルを僕らが提供できないなら、品揃えできない。過去にも取り扱いをやめたサプライヤーはいるよ。


インタビューアー:原材料コストや輸送費が高騰すると、小規模でニッチなあまりでない商品だと在庫しておくのは難しいんじゃないでしょうか?

スティーブさん:それはいい質問だね。年に一、二回しか販売しない商品があるけど、うちのランキングシステムでEとかFとかランクづけしている商品で、そういったものでも、在庫しているよ。そういうのは利益を出せるものじゃないけど、サービスセンターとしては置いておかないとね。だから、そういう商品をできるだけおいておこうとすれば確かに追加コストは発生するね。最近じゃ、販売から5年くらいたつと、そういう小物をうちの補修サービス部品としておいて置くのは難しくなってきたよ。メーカー側が作らなくなっちゃうから。


インタビューアー:コストはかかるけど、コンピュータシステムにしようとは思いませんか?

スティーブさん:以前からオンラインカタログにしたいなあと思ってるんだ。オンラインカタログのあるべき姿は、手がかりとなるビジュアルや販売機会となるビジュアルがすべて載っていること。紙のカタログにあるそういったビジュアルはすべて。これがちょっと問題なんだ。社内もオーダーを電話からウェブサイトに切り替えようとしている。ディーラーがオーダーを入れるときに同じ画面を見ながらできるから、とてもいいと思ってる。でも紙のカタログを置き換えるのはあと5年じゃ難しいだろうな。ソフトウェアと仕事の流れを一新しないといけない。やるのは僕たちの責任だけどね。オンラインカタログをいまみんなが使ってくれている紙カタログよりいいものにして、使ってくれるようにするにはどうしたらいいか?これは僕らのやらなくちゃならない特別任務だね。

インタビューアー:カタログには、商品や部品だけじゃなくて、他にも、社員のユーモラスな写真なんか載せているじゃないですか。どうしてこんなことをやっているのか、カタログ掲載はどんなふうにして決めているのか、教えてください。

スティーブさん:あるときはテーマを決めている。会社や会社の文化やどんなやつがやっているのかということを紹介する機会となる。カタログに顔を出すのは好きなんだ。どんなやつと話しているのかわかるだろ?僕らがどんなことを大事に思っているかとか考え方とか僕らが今年やろうとしていることとかが見えるだろう。目的は会社の人間的な面を見せることなんだ。単にオーダーを入れる場所ということ以上のね。テーマといえば、MMBA、バイクスビロング、ストーリー、普及プログラムのワールドバイシクルレリーフについて、なんかが、今年のテーマでやっている。この頃のは単なるカタログ以上になっているよ。以前は写真と説明と価格だけを載せていたけど、1989年には、これでもかなりイケてる方だった。最近はカタログにかなりたくさんの情報を載せている。僕らはこれでかなり助かっているんだ。出来る限りのスペースを使うようにしている。

インタビューアー:クオリティが自転車普及プログラムに年間通して参画しているのを知っています。それを通じてどんなメリットが得られますか?

スティーブさん:あれね、ヘンなんだよ。ゲイリー・ショークビスト(/シェークウィスト/(Gary Sjoquist)を正社員の啓蒙普及担当者として最初に雇ったとき、8年前だけど、彼が評価できることは僕らにもなにかしら評価可能なはずだと考えていたんだ。金銭的な見返りとして証明できるようなね。たとえば、通勤用の新規オーダーが入ってきて、「オーダーをいれたのは、ゲイリーが自転車通勤推進活動をしていたから」なんてコメント付でね。でも、そうはならなかった。そんなコメントつきのオーダーには。だから、僕はまだそれを証明できてないんだ。考えているのは、証明できるだろうということ、その情報を他の自転車会社と分かち合いたいということ、そして自転車普及活動に参加してくれて、国内で5つか6つくらいサプライヤーが中心となって同じことをやってくれないかなと。まだそうなっていないんだけど。

クオリティがやりつづけて証明する必要は別にないし、僕らのために、僕らの価値観として、僕らの自転車への情熱から、そういったことが大切だと思っているからやっているだけで、この国でそんなすばらしい機会に恵まれて、特に今現在ね、自転車の推進、連邦レベル、州レベル、政治運動も含めてね、僕らは交通問題や環境問題の解決策として自転車の利用を話題にできるんだ。これはものすごいことで、単に自分のことだけを考えてのことじゃないよ。

今現在自転車利用に向かって大変な慣性力が働いていると思う。だから普及活動がいままで以上に大切な時期だと思う。鉄を熱いうちに打つ絶好の機会、さまざまな問題すべてを解決するものとして自転車利用に対してみんな怒涛のような興味を寄せている。会社が利益以上に存在目的をもてるっていうのはとてもすばらしいことだよね。エコ活動、普及活動、社会サービス、に関わるような、そういう存在目的を会社として持てているなんていうことは、ものすごい幸せなことだよ。


インタビューアー:ほとんどの自転車販売店がQBPを利用していますが、購入者のほとんどはQBPを知りません。こういう状況を変えようとは思いませんか?「影の存在」でありつづけますか?


スティーブさん:いまのところ、背景であり続けたいな。可能な限り店をサポートすることで貢献したい。これが僕らの主目的だから。購入者に知られたいとは思わない。それでいいとおもう。ミネソタでは、僕らは環境面の貢献でよく知られている。だから、地域コミュニティには知られた存在だよ。その人達は、僕らが自転車会社じゃなくて、環境関連の会社だと思っているかもしれないけれど、それはそれですばらしいこと。最終購入者に販売しているのじゃなくて、僕らのお客さんはディーラーだから。僕らはディーラーが成功してくれることをサポートするのが仕事で、それで僕らは成功を勝ち得たいと思っているんだ。

インタビューアー:ガソリン価格の高騰で通勤関連の購入が増えていると感じられますか?


スティーブさん:去年がなにかしら感じた最初の年といえるかも。それがガソリン価格かどうかまではわからないけど。アメリカのエコ意識の高まりじゃないかと僕は思っている。アメリカはエコに対する意識がやっと芽生えはじめたところ。ガソリン価格が上下して、その意識が持続していることはグッドニュース。その意識がみんなをはじめての自転車通勤に向かわせる。これはたぶんアメリカの歴史始まって以来のことだよ。僕らは商品の変化からそれがわかる。変速機なしの街乗り車の流行とか。これにはかなりいい思いをさせてもらっているよ。バイシクルリテーラー誌につい最近話したんだけど、27インチタイヤの販売が好調で、これは予定外のことだった。これはみんなが地下室やガレージから自転車をひっぱりだして、タイヤだけ新品にして、希望的観測だけど、通勤や健康のために乗り回しはじめたと、そういう事じゃないかと思っているんだ。ガソリン価格が1ガロン4ドルを超えて、たぶん、これは限界値を超えたはずで、3ドルとか3.5ドルまではそうじゃなかったから、4ドルを超えたから、なにか奇跡がおこるんじゃないかと、楽しみにしているんだ。

インタビューアー:完成自転車流通はしないんですか?

スティーブさん:Salsa(サルサ)を買収して、ブランドっていうものがどういう働きをするものなのか、どんなふうにプロモーションするのか、自転車販売とはどういうことか、よく理解したよ。自転車流通させたいっていう社員の興味でやったというのが実際の主たる理由だけどね。どんなジオメトリがどんな見栄えになるのかとか、どんな部品構成だとどんな自転車になるかなんていうことがわかった。だから、サルサ買収でそういう経験ができて、さらに自転車モデルを始めた。

そしてSurly(サーリー)も始めた。これもまた別の社内的な興味から始まったもので、単速のマウンテンバイクの可能性を探りたいっていう社員が一人いてね。その可能性はほんとうに馬鹿げていると当時思ったんだけど、というのは、21速が24速、27速が30速になるような(多段変速指向の)時期だったから。でもその一方で、彼は「世界は単純化する方向に動いている、単速に」ということを認識していた。それでサーリーになった。いまこの名前は本物指向の機能的な輸送型自転車になって、それはもうすごくすごくうまくいってる。そして、さらにCivia(シビア)をはじめた。これは純粋に通勤用のブランド。ということで、これらに共通のテーマとしては、自転車に対する情熱と熟練さえあればいつでもとにかく「やっちまえ精神」でいくということ。

インタビューアー:もっとニッチなブランドはどう思っています?プロブレムソルバーズ(Problem Solvers)とかディメンション(Dimension)とか。おなじようにうまくいってる?

スティーブさん:そうね、それも僕ら独自のパーツブランドで、また別ものだね。世の中にはすばらしいコンポーネントがたくさんでてきているけど、たとえば、台湾のメーカーはうまく全部が全部ブランディングに成功しているとはいえない。彼らの目はOEM[original equipment manufacturing]で作る方に注力してしまっている。だから、商品自体は素晴らしいもので、これはアメリカに紹介しなくちゃと思ったときに使うための、そういうブランドがこれなんだ。

インタビューアー:QBPで働いている人は何人?

スティーブさん:450人くらい。去年は400人で今年が450人。

インタビューアー:最近施設拡張をしましたね?拡大し続ける予定はありますか?

スティーブさん:残念ながら、ここの敷地にもう空きがなくなっちゃって、今2案で検討中なんだ。道一本いったところに倉庫があって、そこを借りるか、遠いところに倉庫をもつか。遠隔地なら、お金はかからないし、環境もいい、理にもかなっている。でも、そうすると、来社でのサービス提供ができない。

インタビューアー:フォークとディスクブレーキのサービスセンターはどうなってますか

スティーブさん:このところ毎年たくさんの商品変更があるから、それについていくのは販売店も大変になる。だから、サービスセンターをもってくれというリクエストがきた。これが利益をだせるかどうか正直、僕は分からない。サービスセンター以上のプロフィットセンターにはね。

インタビューアー:どのくらいの商品数を扱っているんですか

商品番号で2万7千ある。在庫数と商品番号の数で現時点では世界で最大の単一拠点じゃないかな。

インタビューアー:(見晴らしのいい役員室のような)コーナーオフィスを持たないんですか?

スティーブさん:クオリティ内に今以上にオフィススペースはもたないよ。すべてがオープンな作業机。ハーマンミラーのリゾルブワークスペース(Herman Miller Resolve workstations)があるから。これのコンセプトは「いつも準備状態、すぐに使えて、あっというまに作業中」だし。

インタビューアー:あなたはどんなふうに自転車を利用していますか

スティーブさん:最初は走るのが好きなエンスージアストからだったんだ。ツーリングと通勤で。それからマウンテンバイクが流行って、それに本当に入れ込んで、ロードバイクには7-8年乗らなかった。ミネアポリスからシカゴまでいくのにロードバイクにもどった。で、この頃は、このミックスで乗っている。

インタビューアー:乗っているのは全部、自分のところのブランドのものですか

スティーブさん:そう、全部、ここの。QBPには通勤プログラムがあって、その一部として、自転車通勤には報償がある。販売している商品の知識を得てほしいという別の狙いもある。だから、晴れようが雨が降ろうが毎日の通勤で自転車利用しようという動機づけができれば、自転車商品知識の増進にすごく役に立つと思っている。僕が社内ブランドに乗る理由の一つがそれ。

インタビューアー:どのくらいの距離を通勤しているんですか?

スティーブさん:片道4マイルだけど、通勤リーグっていうのがあって、そのチーム全体のためには10マイル乗らないといけなくて、10から16マイルに増やしているんだ。丘ルートがあって、これで距離を伸ばして、それから公園も通り抜けてね。これはダイナマイトコース。時間がないときは2マイル程度で済ませることもあるけどね。

インタビューアー:すばらしいですね。お時間いただきありがとうございました。

スティーブさん:どういたしまして。



追加:

2010年2月9日のBRAIN(Bicycle Retailer and Industry News)情報:

QBPの2010年カタログは、
自転車専門店(independent bicycle retailers)5000箇所に配布され、400社の商品取り扱い商品番号で3万件。2冊で計1600ページ。パーツナンバー、価格に加え、リファレンス、QBP企画のガイド、ツールを掲載。

クラス最良のブランドから選んだ人気商品をまとめ上げただけではなく、どの版でも、関連する仕様、互換性情報、分解図、高品質な画像を載せて、販売店のみなさんがよりよいサービスを顧客に提供できるようにサポートしています。製品サポートに加えて、環境のためのヒント、安全に関する注意点や技術情報などを提供することで、この印刷カタログが業界標準を作っています。

カタログにはタブ(段切り込み?)をつけてセクションがわかるようになっている。今年はこのタブにはQBPの部門紹介も取り入れた。カタログデザインを手がけたKris Poston は、このカタログは見知らぬQBPスタッフを販売店の人に身近に感じてもらえるための結びつきの一方法。販売店は営業担当者とカスタマーサービススタッフとは定期的に接触しているが、このタブでは、QBPの各部門が販売店のすべての仕事にどのように関連しているのかを見てもらえるようにしている。タブの裏側には一般的な自転車乗車規則を強調して載せている。(ちゃま:実物を見ていないのでタブが具体的にどうなっているのかはわかりませんけど。)

販売店ではこのカタログを使ってもらえれば去年のものより楽になっていることがわかるはず。全重量を2割軽くしたから。木を使う量が少ないし、運ぶ重量も少なくてすむから、これは環境にもいい。でも、ショップ店員が年中このカタログを運んでワークアウトしていたのに、あまり役立たなくなったけどね。

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