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ドイツ商品評価誌『test誌』 2003年5月号

選ぶときのポイント とくに安全性 > ドイツ商品評価誌『test誌』 2003年5月号

Test_warentest

test誌はドイツ政府も出資している商品試験の財団でこのtest誌に掲載された商品評価はかなりの社会的影響力があるといわれています。

そのtest誌が2003年7月号で子供乗せ自転車リヤカーの商品テスト結果を公開しました。先にこのブログにスイスの自転車雑誌の評価を紹介しましたが、こちらは自転車雑誌ではなく一般消費者向けの雑誌です。そのことからもドイツでの普及度合いが推し量れますね。右はこのテストでトップの評価を受けたモデルRitschie2のベーバー社が自社ウェブに掲載しているその7月号の表紙画像です。下部に宣伝文句をつけたしています。(でもベーバー社は別モデルでワースト評価も受けているのですがそのあたりは読んでいただいて・・・) (『test誌』 評価にバイアスを見るは、私の感想です。)

子供のための自転車リヤカー
Fahrradanhänger für Kinder

Test_de_kinderkutschen

子供馬車 Kinderkutschen

わずらわしい厄介者(ドイツ語でアンヘングゼル)などというのはとんでもありません。最近の子供乗せ用自転車リヤカー(ドイツ語でアンヘンガー)は親と子の双方に「快適さ」と「安全」と「走りの楽しみ」を与えてくれます。でも、市販されているモデルの品質と価格にはかなりの幅があるので、そのことを理解しましょう。
(ちゃま注:スイスの自転車誌velojournalの2001年記事でも、
そのタイトルで、自転車リヤカーを「馬車」に例(たと)えています。)

test誌のアドバイス
UNSER RAT

今回のテストでは5台の子供リヤカーが「優」の結果を収めました。わずかの差でトップについたのは多機能のベーバーリッチー2バイカー(Weber Ritschie 2 Biker)でした。価格は高額な885ユーロ。同じく優を取得したキンダーカーシティ(Kindercar City)は570ユーロ。これは荷物輸送として購入するのもよいものです。さらに「優」取得中、最も安価なブルーバード(Blue Bird)は軽量級で価格は370ユーロ。安価なモデルを考えている方はこれがいいでしょう。

さな子供だからといって自転車に乗っていくことをあきらめてしまうことはありません。むしろ、その反対に、自転車に乗れば乗るほどさらにその二倍の喜びが返ってくるでしょう。test誌では「子供乗せシート(キンダージッツ)」についてはこれを自転車に取り付けた際の安全性テストをおこないすでに公表済みです。もうひとつのやり方として「自転車用リヤカー」に子供を乗せて連れて行く方法があります。この利点は、「親子ともに行動の自由がもてる」こと、そして、「子供は最高の乗り心地が味わえ、風や悪天候から守られる」ということにあります。また、「事故にあった際も、自転車から落ちるようなことはなく、『防護部屋』ともいえるような場所に安全に座っていられ」ます。

「子供乗せシート」は50ユーロもだせばいいものが買えますが、「子供用リヤカー(キンダーアンヘンガー)」は通常子供2人の座席で価格はそれ以上の負担となります。私たちは今回、価格が249ユーロから1130ユーロの11モデルを用意しテストしました。(ちゃま関連リンク:『そんな高いもの誰が買うのか』)

最高額の2モデルが悪い評価

予想外の結果:最安のモデルではなく、最も高額なモデル2機種がもっとも劣っているという結果となりました。通常期待される「高いものほど優秀だ」ということではなかったということです。値段が高いものがテストの優勝候補であると考えるのが普通です。高価格であればメーカーは付加価値と安全性とを約束してくれるはずです。しかしそうではありませんでした。具体的には、ブレーキを装備している高額な子供リヤカーは、その慣性ブレーキが効かず、結果リヤカーはほとんど止まらず、急ブレーキ時に前方に転倒する危険性がありました。レジェロクアトロ2ではブレーキはほとんど効果がないことが判明しました。このモデルは、慣性ブレーキ装備が働かなかったうえに、子供を支える安全ベルトも役に立ちませんでした。これ以外のテスト項目ではよい結果を出していたのですが、このため総合評価で『不十分』評価としました。

ベーバーリッチー2は奇妙なテスト結果となりました。ブレーキなしのモデル(リッチー 2 Biker)は、私たちが用意したシナリオをきちんとこなしました。しかし、同等の構造をもちながらもブレーキが装備されているモデル(リッチー 2 Brake)のほうは、危険時にしっかり停止はしたのですが、それ以外の項目で、ブレーキ装備追加の結果というよりも、当初からの構造自体に根本の原因をはらんでいる可能性を示していました。より速い速度で走行した場合、横揺れ状態が発生し、不安定で危険な状態に陥ったのです。原因は自転車後輪に連結する「短い連結棒(連結棒はドイツ語でDeichselダイクセルといいます)」にありました。

ベーバーはこれをすぐに改良すべきです。現時点でWeber Ritschie 2の標準モデル(リッチー 2 Biker)については少なくとも一級品と位置づけました。テストしたモデルでは、「子供に多くの快適さを提供するのはどのモデルか」という観点では、「これがもっとも優秀」とまでいえるものはありませんでした。子供に適した造形、すわり心地、暑さや悪天候対策についてはどのモデルも不満な点はほとんどありません。

豆知識:メーカーの中には今回のテストモデルの仕様以外にそのほかの特別仕様モデルを提供していたり、今回のモデルにさらに快適性改善を提供するとしているところがあります。

ヒッチは2分割されたものが良い

通常、品質は価格に反映されますが、私たちの検査員はそうでない場合があることも見つけました。検査員はまず、連結器(Kupplungクップルング)としてシンプルな一体型連結器を使い、走行テストをおこなってみました。しかし、これは自転車一台一台に取り付けなければならないので比較的費用がかかるうえ、安全な連結をいつも保証してくれるとは限りませんでした。自由に使える2分割型(自転車側とリヤカー側)に変えた時は実用性と安全性に最大の効果がありました。特にベーバーの連結器はしっかりした印象がありました。これは後輪スタンドに組み合わせた製品として提供され、安定して自転車を止めておけます。しかし、どの自転車でも使える連結器というものはなく、連結器は自転車によって合う合わないがあります。

豆知識:子供リヤカー購入時には牽引する自転車も購入店へ一緒に持っていきましょう。

ところで:自転車リヤカーは現在はどれも自転車のフレームの下部に装着するようになっています。このタイプは以前よく用いられていたサドル支柱下部への連結よりも急ブレーキ時の安定性が高いのです。しかし残念ながらいまだ今日でも安全性を省いてしまうメーカーがあります。たとえば反射板装備では幌(カバー)にぶら下げているだけのモデルも数種ありました。しっかりと固定したバッテリーテールランプ(電池式後部ライト)を装備していたのはLokari(ロカリ)ただ1モデルだけでした。もっとよいやり方としては、たとえば、ダイナモ駆動のテールランプを装備していれば(電池がなくなるという状況になることがないので)さらに確実に安全性が向上します。(ちゃま注:ドイツでは道路交通法で自転車のランプはダイナモ駆動であることが決められているので、リヤカーもそれにしなさいということなのでしょう。オートランプもハブダイナモ式なのがなぜあるのかわかりますね。これがアメリカだと逆で、ランプはすべて電池駆動しかなく、35歳以下の人はダイナモ式ランプを知らない人がほとんどだとか・・・。日本では漕ぐのが重くなるからライトを点灯しないという若者が増えています。「重い」というのもびっくりなんですが、そうであるなら電池ライトにすればいいのに。日本ではドイツと違ってダイナモ義務ではないですから。しかし点灯は「義務」。点灯したくなければ日没後は「自転車を降りて歩いて押す」。そうすれば歩行者。)

豆知識:自ら装備追加する場合は、2002年9月号の「自転車ライトのテスト」を読んでください。

いざというときに、子供後方支持装置(Kinder-Rückhaltesystem=子供サポートシステム=安全ベルト)が子供の生死を分けることになります。しかし、負荷テストでは3機種のモデルで安全ベルトに欠陥があることが明らかになりました。うち2モデルは安全ベルト自体が壊れてしまいました。レジェロではシートフレームもねじれてしまいました。

硬い床底に注意を払う

子供乗せリヤカーが „tiefer gelegt“(低車高=シャコタン)であることが「転倒防止の安全面」に役立つと考える設計者もいます。もっとも、それは床がしっかりしていることが前提となります。床は(座った)子供の足と(座面下の道の)石や木の根との間に位置するものです。この床が単に布を張っただけのカバーだった場合(特にクールストップKool-Stopの場合)、けがをするリスクが増加します。これとは反対に、床が浴槽の形状のように、底と周辺部までを一体で覆った形状として、硬い材質でつくられているものであれば、下部からの保護効果はかなり改善されます。そのうえ、このような固い床を装備するリヤカーであれば荷物の持ち運びにも有効に使うことができます。

豆知識:子供用自転車リヤカーのモデルはバギー(ベビーカー)に変えて押して動かせるものもあれば、スケート用にまで変えられるものもあります(*)。また、リヤカーは買い物の持ち運び用途に理想的であることを記しておかないといけないでしょう。もう一つ明らかなことは、子供が大きくなったら、今度は食べ物や飲み物をたくさん運ぶことになるということです。いい子供リヤカーならそうなった時でもまだ働いてくれます。 (ちゃま関連リンク:『そんな高いもの誰が買うのか』) (*ちゃま注:アメリカならstrollerベビーカーというところですが、ADACではスケートといっています。これはインラインスケートのことです。ドイツではインラインスケートをしながら赤ちゃんをつれていくのかなと思いましたら、アメリカでもそうでした。スポーツ志向の方々にはかなり一般的におこなわれているようです。また単にスケートというだけでインラインスケートを表すようです。氷の上はアイススケートといわないといけないのでしょうか。)

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